高卒採用のメリット・デメリット|大卒・中途と比べてわかる向き不向き
高卒採用の最大のメリットは、18歳の若手を自社で一から育て、長く活躍してもらえることです。一方で、学校とハローワークを通す独自のルールと決まったスケジュールがあり、思い立ってすぐ採れる方法ではありません。「若手を計画的に育てたい」「現場を担う人材を確保したい」企業に向いた採用手法です。
岐阜県の高卒求人倍率は4.31倍(2026年3月卒、岐阜労働局)。就職を希望する高校生1人に対して4件以上の求人がある売り手市場です。だからこそ、メリットとデメリットを理解したうえで、準備して臨むことが大切です。この記事では、大卒・中途採用と比べながら、高卒採用の向き不向きを整理します。
目次
高卒採用・大卒採用・中途採用の比較
まずは3つの採用手法の違いを一覧で比べてみましょう。
| 比較項目 | 高卒採用 | 大卒採用 | 中途採用 |
|---|---|---|---|
| 応募の経路 | 学校・ハローワーク経由が原則 | 就職サイト・説明会など自由 | 求人サイト・紹介会社など自由 |
| 活動できる時期 | 申し合わせで日程が決まっている | 企業ごとに比較的自由 | 通年 |
| 応募できる社数 | 一定期間は一人一社 | 制限なし | 制限なし |
| 入社時の経験 | 社会人経験なし | 社会人経験なし | 経験者が中心 |
| 育成にかかる期間 | 長め(基礎から) | 中くらい | 短め(即戦力) |
| 地元への定着 | 地元志向の生徒が多い | 県外へ出る学生も多い | 人による |
高卒採用は「自由度が低い代わりに、ルールに沿って準備した企業が強い」採用手法だといえます。
高卒採用のメリット
① 若いうちから自社のやり方で育てられる
社会人経験がないため、前職のクセがなく、自社の仕事の進め方や価値観を素直に吸収してもらいやすいのが特徴です。18歳で入社すれば、22歳で入社する大卒より4年早く現場経験を積めます。
② 地元で長く働いてくれる人材に出会いやすい
高校生の就職は、自宅から通える範囲で探すケースが多く、地元で暮らし続けたい生徒と出会えます。岐阜の中小企業にとって、地域に根付く若手は大きな財産です。
③ 学校との信頼関係が「採用の仕組み」になる
高卒採用は学校の先生が生徒と企業をつなぐ仕組みです。一度信頼関係ができると、毎年の採用で頼れるパートナーになります。卒業生が活躍していれば、翌年以降の後輩の応募にもつながります。
④ 一人一社制で内定辞退が起きにくい
岐阜県では10月31日までは一人一社制のため、応募した生徒は原則としてその1社の選考に集中します。大卒採用のように内定を何社も持たれて辞退される、という事態が起きにくい仕組みです。
高卒採用のデメリット・注意点
① ルールとスケジュールが厳格
求人の申込みは6月1日以降、学校への求人申込みは7月1日以降、選考は9月16日以降など、日程が申し合わせで決まっています(岐阜県・2027年3月卒の場合)。この流れを知らずに動き出すと、その年の採用に間に合いません。
② 生徒と直接やり取りできる場面が少ない
応募は学校を通じて行うため、企業が生徒に直接連絡して口説く、といった活動はできません。求人票や職場見学など、限られた接点で魅力を伝える工夫が必要です。
③ 入社後の育成が欠かせない
社会人1年目の若手です。仕事の基礎、ビジネスマナー、職場での相談の仕方など、受け入れ側が育成の段取りを用意しておかないと、早期離職につながります。
④ 求人を出すだけでは応募が来ないこともある
売り手市場のため、生徒は多くの求人の中から選びます。求人票の内容が伝わりにくかったり、学校に会社を知ってもらえていなかったりすると、応募ゼロで終わることもあります。
自社は高卒採用に向いている?チェックリスト
- 入社後1〜3年かけて育てる前提で、教える担当者を決められる
- 未経験から覚えられる仕事がある(または仕事を切り出せる)
- 毎年または数年おきに、継続して若手を採用したい
- 6月〜9月の採用活動のために、担当者の時間を確保できる
- 学校の先生と長く付き合っていく意思がある
- 高校生が通える範囲に事業所がある(または寮・社宅がある)
当てはまる項目が多いほど、高卒採用で成果を出しやすい企業です。
デメリットを小さくするための3つの準備
- 年間スケジュールを先に押さえる:春のうちに採用計画を決め、6月の求人申込みに間に合わせます。流れは高卒採用の年間スケジュール完全ガイドで確認できます。
- 求人票を「高校生が読んで分かる」内容にする:仕事内容・1日の流れ・研修体制を具体的に書きます。書き方は選ばれる高卒求人票の書き方を参考にしてください。
- 入社後の育成計画を用意しておく:誰が・何を・いつまでに教えるかを決めておくと、職場見学や面接でも説得力のある説明ができます。
「うちに合うか分からない」段階で考えたいこと
高卒採用が向いているかどうかは、業種よりも「育てる体制を用意できるか」で決まる部分が大きいといえます。製造・建設・物流・販売・事務など、未経験から覚えられる仕事は多くの会社にあります。まずは、今いる若手社員がどのように育ってきたかを振り返り、高校生を受け入れた場合の1年目の姿を描いてみることから始めましょう。
高卒採用で採用後に伸びる会社の共通点
高卒採用は「採ったら終わり」ではなく、入社後の数年で成果が決まる採用手法です。採用した若手が育ち、翌年以降の採用にも良い循環が生まれている会社には、いくつかの共通点があります。
入社後の姿を具体的に説明できる
職場見学や面接で「最初の3か月はこの先輩と一緒にこの作業を覚えます」「1年後にはこの工程を任せます」と具体的に話せる会社は、生徒にも先生にも安心感を与えます。育成の道筋が見えていることは、求人票の条件以上に選ばれる理由になります。
先輩社員が採用活動に関わっている
年齢の近い先輩社員が職場見学の案内や会社説明に加わると、高校生は「この人のように働けそうか」をイメージしやすくなります。先輩にとっても、後輩を迎える準備として良い経験になります。
卒業生の様子を学校に伝えている
採用した生徒が元気に働いている様子を、出身校の先生に伝えている会社は、翌年以降も生徒を紹介してもらいやすくなります。先生にとって、卒業生がどう過ごしているかは大きな関心事です。
毎年の振り返りを次の採用に生かしている
どの学校から応募があったか、職場見学でどんな質問が出たか、入社後にどこでつまずいたかを記録し、翌年の求人票や育成計画を見直しています。高卒採用は毎年同じ日程で進むため、振り返りがそのまま改善につながります。
| 採用前 | 採用後 |
|---|---|
| 育成の道筋を決めて、求人票・見学で伝える | 計画どおりに育成し、面談で振り返る |
| 先輩社員と一緒に会社の魅力を伝える | 先輩が相談相手になり、定着を支える |
| 学校に求人票と会社の情報を届ける | 卒業生の活躍を学校に伝え、翌年につなげる |
よくあるご質問
Q. 高卒採用は中小企業でもできますか?
A. できます。高卒の就職先は中小企業が中心で、学歴や企業規模で応募が決まるわけではありません。求人票の分かりやすさや、学校との関係づくりが結果を左右します。
Q. 高卒採用はいつから準備すればよいですか?
A. 翌春に入社する生徒を採用する場合、ハローワークへの求人申込みは6月1日以降に始まります。その前の春までに採用人数や仕事内容、求人票の内容を固めておくのが理想です。
Q. 大卒と高卒、どちらを採用するべきですか?
A. 仕事内容と育成体制で考えるのがおすすめです。未経験から現場で覚える仕事が中心で、長く育てる前提なら高卒採用が向いています。両方を組み合わせる企業もあります。
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