高卒採用

高卒採用と大卒採用の違い|ルール・時期・選考を比較表で解説

高卒採用と大卒採用の一番の違いは、高卒採用では「学校とハローワークを通す」「決められた日程で動く」「一定期間は一人一社」というルールがあることです。大卒採用のように企業が自由に説明会を開き、学生と直接やり取りして選考を進めることはできません。

大卒採用の経験がある企業ほど、同じ感覚で動いてしまい「求人を出したのに応募が来ない」「動き出しが遅かった」となりがちです。この記事では、両者の違いを項目ごとに整理し、高卒採用で押さえるべきポイントを解説します。日程は岐阜県の申し合わせ(2027年3月卒)を例にしています。

高卒採用と大卒採用の違い一覧

項目 高卒採用 大卒採用
応募の経路 ハローワークで確認を受けた求人票を学校に提出し、学校を通じて応募 就職サイト、説明会、大学のキャリアセンターなど
求人の公開 学校での受理・提示は7月1日以降 企業ごとに広報を開始
応募の開始 推薦文書の到達が9月5日以降 企業ごとに設定
選考・内定 9月16日以降(内定も同日以降) 企業ごとに設定
応募できる社数 10月31日までは一人一社、11月1日以降は一人2社まで 制限なし
応募書類 全国高等学校統一応募書類(履歴書・調査書) 企業独自のエントリーシートも可
生徒・学生との接点 学校経由が中心。家庭訪問は禁止 直接連絡・面談が可能
入社前の活動 就業開始は卒業後。在学中の負担になる課題は不可 内定者研修・課題を行う企業も多い

出典:岐阜県高等学校就職問題検討会議「令和9年3月新規中学校・高等学校等卒業者の就職に関する申し合わせ」(令和8年3月12日)。日程やルールは年度ごとに見直されるため、最新の内容は管轄のハローワークでご確認ください。

違い① 応募の経路:学校とハローワークを通す

高卒採用では、企業はまず管轄のハローワークに求人を申し込み、内容の確認を受けます。確認印の押された求人票を学校に提出して、初めて生徒に紹介してもらえます。この手続きを経ていない求人には、学校は生徒を推薦しません。

大卒採用のように就職サイトに求人を載せて学生を集める、という順番ではない点が大きな違いです。

違い② 時期:日程が申し合わせで決まっている

高卒採用の日程は、都道府県ごとの就職問題検討会議の申し合わせで決まります。岐阜県の2027年3月卒の場合は次のとおりです。

  1. 6月1日〜:ハローワークで求人申込みの受付・求人票の確認
  2. 7月1日〜:確認済みの求人票が返され、学校への求人申込み・学校訪問ができる
  3. 9月5日〜:学校からの推薦(応募書類の到達)
  4. 9月16日〜:選考開始、内定も同日以降

大卒採用は企業ごとに比較的自由に動けますが、高卒採用ではこの日程に間に合うように準備した企業から選ばれていきます。

違い③ 応募社数:一定期間は一人一社

岐阜県では10月31日までは一人一社制で、生徒は原則1社にしか応募できません。11月1日以降は一人2社まで応募・推薦が可能になります。生徒にとって「最初の1社」選びはとても重要で、企業にとっては最初に選ばれることが採用の成否を分けます。詳しくは一人一社制とは?基本ルール解説をご覧ください。

違い④ 選考:統一応募書類と公正な選考

高卒採用の応募書類は、厚生労働省・文部科学省・全国高等学校長協会が定めた統一様式です。企業独自の応募用紙(社用紙)やエントリーシートの提出を求めることはできません。また、面接では本籍や家族のことなど、本人の適性・能力と関係のない質問をしないよう求められています。

採否は、選考後できる限り速やかに(原則7日以内)、学校と、学校を通じて生徒に文書で通知します。

違い⑤ 入社前:在学中の負担に配慮する

高校生はまだ在学中です。卒業前のレポート提出など、学業に支障が出る課題は認められていません。内定後のフォローは、学校と相談しながら負担の少ない形で行います。

大卒採用の感覚で動くと起きやすい失敗

  • 求人サイトに載せれば応募が来ると思い、学校への働きかけをしていない
  • 7月以降に準備を始め、求人票の提出や学校訪問が後手に回る
  • 面接で家族構成や尊敬する人物など、配慮すべき質問をしてしまう
  • 独自のエントリーシートや作文を求めてしまう
  • 内定後に課題を出し、学校から指摘を受ける

大卒採用の経験は「伝える工夫」で活かせる

大卒採用で培った会社説明の工夫や、先輩社員の紹介、職場の雰囲気の伝え方は、高卒採用でも役立ちます。違うのは、伝える相手が「生徒本人」と「進路指導の先生」の両方であることです。先生が生徒に安心して勧められる情報を、求人票や職場見学でそろえておきましょう。

高卒採用ならではの進め方:先生と生徒、両方に伝える

大卒採用では、企業は学生本人に向けて情報を発信します。一方、高卒採用では、生徒本人に加えて、進路指導の先生や保護者も会社選びに大きく関わります。そのため、情報の伝え方にも工夫が必要です。

伝える相手 知りたいこと 伝え方の例
生徒 どんな仕事か、職場の雰囲気、自分にできるか 職場見学で実際の仕事を見せる。年の近い先輩と話す時間をつくる
進路指導の先生 安心して生徒を紹介できる会社か、卒業生はどうしているか 求人票を正確に書く。学校訪問で育成の体制や卒業生の様子を伝える
保護者 待遇、通勤、長く働ける会社か 求人票の条件を分かりやすく書く。会社案内に休日や制度を明記する

大卒採用のように説明会やSNSで多くの学生を集めるのではなく、限られた接点で「信頼できる会社だ」と感じてもらうことが、高卒採用の基本です。そのため、求人票、学校訪問、職場見学の3つが、大卒採用以上に重要な役割を持ちます。

大卒採用と並行して進めるときの注意点

同じ年に大卒採用と高卒採用を並行して進める企業もあります。その場合は、次の点に気をつけましょう。

  • 大卒向けの説明会資料やエントリーシートを、高卒の選考にそのまま使わない
  • 高卒の選考日は、選考開始日(岐阜県は9月16日)以降に設定する
  • 大卒向けの内定者課題や研修を、高卒の内定者に求めない(就業開始は卒業後)
  • 求人票に書いた条件と、大卒向けの資料の条件に食い違いがないか確認する

採用担当者が大卒と高卒の両方を担当する場合は、それぞれのルールを一覧にして共有しておくと、うっかりミスを防げます。

高卒採用の年間の動きを大卒採用と並べてみる

同じ「翌春入社」でも、動く時期は大きく異なります。社内のカレンダーに両方を書き込んでおくと、準備の抜けを防げます。

時期 高卒採用(岐阜県の例)
春 採用計画・求人票の内容づくり
6月 ハローワークへ求人申込み(6月1日〜)
7〜8月 学校への求人票提出・学校訪問・応募前職場見学(7月1日〜)
9月 推薦(9月5日〜)、選考・内定(9月16日〜)
11月〜 一人2社まで応募可能(11月1日〜)

大卒採用の日程は企業ごとに異なるため、自社の大卒採用の予定と並べて、担当者の忙しい時期が重ならないかも確認しておきましょう。

よくあるご質問

Q. 高卒採用でも就職サイトに求人を載せられますか?

A. 岐阜県の申し合わせでは、ハローワークで確認を受けた求人であれば7月1日以降に文書募集を行えます。ただし求人番号の掲載が必要で、応募の受付は学校またはハローワークを通じて行います。

Q. 高卒採用でも筆記試験や適性検査は行えますか?

A. 選考開始日以降であれば、仕事に必要な能力をみる試験は行えます。本人の適性・能力と関係のない事項を把握する内容にならないよう注意しましょう。

Q. 大卒と同じ時期に内定を出してもよいですか?

A. 高卒採用の内定は選考開始日(岐阜県は9月16日)以降です。それより前に選考や内定を出すことはできません。

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